こんにちは、シュンです。
フリーランスの歯列矯正医をしています。
今日は、「なんとなく歯並びが悪い」とは自覚してるけど、「普通に食事もできるし、困ってないし…」「矯正治療って長いし、高すぎる!」っていう方に向けてざっくりお話します。
このブログでは、特定の歯科医院を推奨することはありません。
歯並び(噛み合わせ)が悪いとどうなる?
僕ら矯正医がいう『歯並びが悪い』ってどんな状態かわかりますか?
おそらく一般の方であれば、歯並びが悪い=歯がデコボコにはえてるって認識かなって思います。
歯並びが悪いことを専門的には不正咬合といいます。
不正咬合には、歯がデコボコにはえる叢生やいわゆる出っ歯である上顎前突、逆に下顎が出てる下顎前突、奥歯で噛んでも前歯が当たらない開咬など多くの種類があります。
僕も矯正の相談で患者さんとお話すると、歯のデコボコがあまりなかったから、そんなに悪い歯並びだと思っていなかった。という話をよく聞きますが、デコボコはなくてもリスクのある噛み合わせはたくさんあります。
ポイント
デコボコはなくてもリスクの高い歯並び・噛み合わせがある
不正咬合のリスク
正咬合の種類にもよりますが、ほとんどの不正咬合にはリスクがあります。
『歯並びなんで見た目の問題でしょ!』 という声をよく聞きますが、見た目の歯並びの問題は、不正咬合のリスクの1つに過ぎません。
例えば、僕は患者さんの口のなかを見ていて高齢の患者さんには、デコボコがあることはほとんどありません。
これは、昔は今より顎が発達していたから…とかではなく、デコボコの歯が抜けてしまった結果、綺麗に並んでいる歯しか残らなかったためだと考えられます。
(昔は顎が発達していたから、デコボコが少なかったというデータはありません。個人的な意見ですが、1本1本の歯の大きさが大きくなってきた印象をうけます。)
それでは、歯並びが悪いと実際にどのようなことがおきるのでしょうか?
・食べ物がよく噛めない
・ことばが明瞭でなくなる
・むし歯になりやすい
・歯周病(歯槽膿漏)になりやすい
・口臭の原因になる
・むし歯や歯周病の治療がしにくい
・歯を折ったり、ケガしやすい
・アゴの成長に悪い影響を及ぼす(成長期)
・コンプレックスにより心理的に悪い影響を与えることがある
一般的に上記のようなことが言われますが、実際に「食事がしにくい」など自覚している方は少ないかと思います。
通常、歯並びが悪い方は、ずっと歯並びが悪い状態で過ごして来ていますので、それが当たり前になっているためです。
また、歯並びの悪さはむし歯で痛みがあるなどとは違い、現状に不満がなければ差し迫ったものではありません。
しかし、5年、10年という長期で見た場合、確実にリスクとなっていくということを覚えておいてください。
歯は一度失うと二度と生えてはきません。普段、歯並びはあまり気にしていない方が多いとは思いますが、老後に歯で苦労しないためには、早めの対応が重要になってきます。
ポイント
歯並びが悪いのを放置すると、歯を失うリスクが年々上昇する
矯正治療って長すぎる!
矯正治療は、成人の場合で1年~3年程度、その後、「保定」といって綺麗になった歯並びを維持する装置を使用していきます。
保定は最低2年間といわれることが多いですが、最近では半永久的な使用が推奨されています。
(アメリカや韓国などでは90%以上、日本でも60%以上の方が長期間の保定を行っているという報告もあります)
また、小児矯正から大人の矯正までやると10年以上通う必要があるケースもあります。
(小児期から行うメリットもたくさんありますが、長くなってしまうので、それはまたの機会にお話しします。)
確かに保定まで含めると大人でも4、5年、小児からだと10年というと非常に長いと感じるかと思います。
ただし、矯正治療は保定がしっかりできていれば、むし歯や歯周病などと異なり、通常一生を通じて1回のみの治療になります。
(保定がしっかりできてないと「後戻り」してしまうため、再治療が必要になる場合もあります。)
また、矯正治療は治療中は通常1~2カ月に1度程度の通院が必要ですが、保定期間中は年に2~3回程度の通院ですので、通院回数はむし歯の治療のように頻繁に通う必要はありません。
ちょうど、治療中はでも美容院や床屋に通う程度ですね。
人生100年時代といわれる現在、人生のどこかのタイミングで治療に1~3年、あとは年に数回チェックを行えば綺麗で歯磨きなどのケアもしやすい歯並びが一生手に入りますよ。
ポイント
矯正治療は一生に1回!人生100年時代での数年間は、そんなに長いですか?
矯正治療って高すぎる!!
日本では、健康保険があるため歯にお金をかける患者さんは世界的に見ても少ないと思われます。
健康保険は、非常に素晴らしい制度である一方、様々な縛りや問題点もあることをご存じですか?
例えば、日本でむし歯になると小さいものだと白い詰め物、ちょっと大きくなると保険では銀歯が選択されます。ただ、この銀歯ですが、世界中でこの銀歯が用いられているのは日本だけです。性能でいうと「比較的安いし、なんとか許容できる」として今から50年以上前に保険に導入され、現在でも日本では使われております。
(ちなみにヨーロッパの医療先進国と言われる国では、使わない方が良いと強く推奨されています。)
また、1度にできる治療が限られているため「なんで歯医者は、1度でいっぱいやってくれないのか!」みたいな話もよく聞きますが、その原因の一部も健康保険のせいだとも言えます。
そして、矯正治療ですが日本で保険が認められているのは口唇口蓋裂などの一部の先天性疾患や顎変形症という極端な受け口や出っ歯、顔が曲がっているなどの手術を併用とした外科矯正治療に限られています。
そのため、通常の矯正治療は保険が適用されない自費診療がほとんどです。
自費診療のため、矯正治療の料金は各医療機関によって様々ですが、関東の国公立大学の附属病院(国公立なので、国が決めた1つの基準となっています)では大人で100万円前後、通常の開業医だとざっくり80~120万円程度だと思ってください。
(この費用は、一般的な表側のワイヤーの装置です。治療装置によって、料金は異なります。)
確かに100万円は大金です。「そんなの絶対に無理!」という声が聞こえてきそうですが、例えば歯並びが悪くどうしても歯磨きができない奥歯をむし歯や歯周病で失ってしまったことを考えてみましょう。
保険治療でできるものは、ブリッジという両隣の歯を削って橋渡しを行う銀歯や1本義歯という取り外し式の入れ歯だけになります。費用としては1万円前後かと思います。
もっと良い自費の治療を行うとしたら白いブリッジで10~15万円、インプラントになると40~50万円程度かかる場合が多いです。
さらに、これらの治療は自分の歯を人工物で補う治療です。人工物ですので、どんなに素晴らしい材料、どんなに素晴らしい技術で治したとしても、一般的にブリッジや差し歯などは10年、インプラントでも15年程度で再治療が必要になることが多いです。
例えば、40代くらいで歯を失ってしまった場合、ブリッジだと4~5回、インプラントでも3回くらいの再治療が必要になる計算です。さらに、再治療の場合むし歯が広がっていたり、歯周病が進行して骨が痩せてしまっていたりする場合が多く、同じ治療が困難になる場合が多いです。
「一生、保険治療しかしない」と心に決めている方の場合は、費用的には安く済む場合もあると思いますが、その都度治療に通院をする必要があります。
そのためか、以前は子どもと見た目を気にする20代くらいの患者さんが多かった印象ですが、最近ですと、実際にむし歯や歯周病などのリスクを肌で感じ始めた30~50代くらいの患者さんの矯正治療の需要が増えているように感じます。
ポイント
矯正治療は高額だが、若いうちに矯正治療を行うと生涯の歯科治療費は安くなることが多い
歯並び悪いんだけど、どうすればいいの??
歯並びが悪いと自覚している場合や、自分の歯並びが良いのか悪いのかわからない場合、実際どうすればいいのでしょうか?
残念ながら、歯並びが悪い場合、自分でなんとかすることはできません。
一番手っ取り早いのは、今通われている歯医者さんに聞くか、近所の矯正医院に相談の予約を取ることだと思います。
矯正医院であれば、無料相談を行っている医院も多数ありますので2~3件相談に行ってみるというのが良いかと思います。
「相談に行ったら、無理に売り込まれて契約させられちゃうかも…」と考えている方は、逆に無理に売り込まれたと感じたら違う医院に行くべきかと思います。
矯正治療は数年間、場合によっては10年程度の長期の通院が必要です。通院に必要な距離も大事ですが、矯正医との相性も大事になってきますので良く考えて矯正医の話に納得してから開始してくださいね。
あと、相談の時に一番大事なことは「自分の治療のゴールを伝える」ことです。少なくとも「自分の歯並びで一番気になること」は必ず伝えるようにしてください。
ポイント
矯正相談は、必ず2~3件行ってみる
ぜひ参考にしてみてください。