歯列矯正医による矯正治療のお話

Shun's BLOG

歯列矯正

矯正治療の流れ・期間について系統的に解説します【認定医】

2019年11月7日

こんにちは、シュンです。

「矯正って興味あるけど、どうすれば良いの?」
「矯正治療が必要かわからない」
「矯正治療って、どんな感じにやるの?」
「矯正治療って、いつからどのくらいかかるの?」
という方向けの記事になります。

  • 矯正治療の概要
  • 矯正治療の必要性
  • 矯正治療の流れ
  • 矯正治療はいつから始めるのが良いか
  • 矯正治療の期間

について解説します。

 

矯正治療の概要

矯正治療は、大きく「子どもの矯正(Ⅰ期治療、小児矯正)」「大人の矯正(Ⅱ期治療)」に分けることができます。
これらは、年齢が違うだけでなく目的が大きく異なります。

子どもの矯正

概要
・主に混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)に行う。
・生え変わりの個人差によるが、通常7~9歳程度から行う。
・成長を利用することにより、上あごや下あごの成長をある程度コントロールできる。
・大人になってからでも治せる歯のねじれなどについては、積極的に治さない(永久歯が生えそろうまでは、自然と歯並びが動いてしまうため)。
・子どもの矯正が終わったあと、必要に応じて大人の矯正に移行する。

目的
・永久歯が生える隙間を作る
・上あごと下あごの成長をコントロールする
・よくない癖やかみ合わせを早期になくし、正常な成長を促す

ポイント

ポイント
基本的には、成長を利用した治療で大人になってからは出来ない成長期の土台作り。
細かいねじれなどの歯並びを治すことは対象外となることも多い。

大人の矯正

概要
・主に永久歯列期(永久歯が生えそろった時期)に行う。
・個人差はあるが、12~15歳程度以降ならば基本的にいつでも行える。
・大きな成長が無くなってから、すべての歯を1本1本動かして歯並び・かみ合わせを整える。
・大きなデコボコがあったり、出っ歯などの場合、永久歯の抜歯が必要になることがある。

目的
・すべての歯を動かして、きれいな歯並び・かみ合わせを獲得・維持する。
・歯並び・かみ合わせを整えることで、歯磨きをしやすくし、長期的な歯の寿命を長くする。
・出っ歯で口が閉じずらいなどの場合、ある程度は横顔の印象などを変えることができる。

ポイント

ポイント
・きれいな歯並び・かみ合わせは、見た目だけでなく長期的な歯の寿命にも影響する。

矯正治療の費用については以下の記事を参考にしてください

矯正治療費に基準ってあるの?【矯正費用の基準、相場】

 

矯正治療の必要性

いまだに、矯正治療は歯並びの見た目を治す治療だと思っていませんか?

歯科では8020運動(80歳で20本以上自分の歯を保とうという運動)が、30年ほど前からさかんに行われてきました。これは、親知らずを除く28本の永久歯のうち20本以上あれば、食事がおいしく食べれるということから始まりました。現在では、8020達成者は50%を超えており、80歳以上の2人に1人は20本以上、ご自身の歯を保っています。そして、8020達成者を見ると奥歯や前歯がしっかりかみ合い安定しており、反対咬合(前歯が反対に噛んでいる)の方はいなかったという報告もあります

人の咬合力(噛む力)は、ご自身の体重くらいあると言われております。体重60㎏の人であれば、最大60㎏の咬合力があるとされています。かみ合わせが良い人の場合は、この力を全ての歯で支えますが、かみ合わせが悪い人の場合、特定の歯だけで支えることになります。その結果、支えている歯の負担が増加してしまい、長期間でみると歯の寿命が短くなってしまいます。

また、明らかなデコボコがある場合も歯磨きが難しいため、歯の寿命が短くなる傾向があります。個人的な感想ですが、高齢の方の口の中を拝見するとデコボコがある人はほとんどいません。これは、「昔はアゴが丈夫だったから…」とかではなくて、デコボコがあった歯が抜けてしまったためだと考えられます

そのため、きれいな歯並びや機能的なかみ合わせは、見た目だけでなく将来的な歯の寿命にも大きく関与しています。少しでも気になることがあれば、矯正の相談(無料で受けれる医院が多数あります)をしてみてはいかがでしょうか?

特に人生100年時代の今、子どものうちに成長期の土台作りを行えば、その後の80~90年間に良い影響を与えると思います。

ちなみに、世界の矯正事情を見てみるとすでにほぼ8020を達成している諸外国の矯正経験者の比率を見てみると約30~50%程度が小児期から矯正治療を受けたことがあるとされています。もちろん、歯科先進国では矯正以外の定期健診の受診率などの予防歯科も盛んです。しかし、日本の矯正事情はどうでしょう?お子様の学校のクラスで矯正治療を行っている人は何人くらいいますか?地域にもよると思いますが、多くてもクラスで5人程度ではないでしょうか。

ポイント

日本は、矯正後進国(歯科後進国でもあります)

矯正治療の流れ

矯正治療の流れは、上記のフローチャートのようになります。

・矯正相談

顔つきや口の中を拝見して、矯正治療の必要性、どんな治療が必要かなどを説明します。このときに、希望の矯正装置や気になることは全て聞いておくことが重要です。また、希望する矯正治療のゴールがあれば、必ず伝えてください。無料相談を行っている医院が多いので、最低でも2~3件の医院で相談して自分に合った矯正医を探してください。メリットだけでなく、デメリットも話してくれる矯正医の方が良いと思います。また、自分に合った矯正医のタイプ(丁寧で優しい、少し怖いけど頼もしい、話しやすいなど)も見ておくと良いと思います。

・検査

顔や口の中の写真、レントゲン写真、歯型、かみ合わせなど治療に必要な資料を取ります。この時点から、費用が発生することが多いですので

・診断

検査した資料を分析した、治療結果を説明します。相談の時にはわからなかったこともレントゲン写真などからわかる場合もあり、相談の時と治療方針が変わってしまうこともあります。このときに、矯正治療の概要や装置の種類、メリット・デメリットなどの説明をします。
矯正治療は長期間かかる場合が多く、途中でやめることも難しい治療です。検査診断の費用はかかってしまいますが、もし不安を感じた場合、ここが矯正治療を始めるかやめるかの最終決定だと思ってください。

・子どもの矯正(Ⅰ期治療)、大人の矯正(Ⅱ期治療)

実際に動かしていく段階です。装置の使用方法や実際に初めてみて気になったことは、どんな細かいことでも担当医に相談してください。治療中も担当医とできるだけコミュニケーションをとった方が、不安なく治療が進められると思います。

・保定

矯正治療の後は必ず保定という、動かした歯を安定させる期間があります。これを行わないと、せっかく治った歯も多少戻ってしまい(完全に元に戻ることは、ほぼありません)矯正治療にかかった費用も期間も無駄になってしまうことがあります。大人の矯正の場合、最低2年間は使用・通院する場合が多いです。
海外では、一度治った歯並び・かみ合わせは二度と戻したくないという方が多いため、半永久的に保定を行う患者さんがほとんどです。日本でも最近では、2年経過後も長く保定を行う方が60%程度はいるという報告もあります。

・定期健診

保定期間が終わっても一般の歯医者さんで定期健診は必ず行った方がいいです。きれいな歯並び・かみ合わせになったのに、むし歯や歯周病で歯を失ったりしたら、非常にもったいないです。

 

矯正治療はいつから始めるのが良いか

子どもの矯正

かなり医院や矯正医によって答えが変わるところではありますが、僕は小学校に入学したら矯正相談に行ってみると良いと思います。僕はその時点でまだ早いと判断すれば、また半年後や1年後に来院して頂き、ベストな時期で開始します。ただし、最初の相談が遅い場合、使える矯正装置が減ってしまい、治療結果に影響する可能性があるため、早めに相談にはだけは行くことを推奨しています。

早ければ早いほど良いという矯正医もいますが、幼児の場合矯正治療自体が困難になる場合やストレスになってしまうことがあるためです。そして、子どもの矯正の終了は「永久歯が生えそろうまで」となることが多く、あまり早く通い始めると非常に長い通院期間が必要になるためです。

個人的には、その子の歯並び・かみ合わせを改善できる時期で最も遅い時期ということをお話ししています。

大人の矯正

永久歯が生えそろった大人の矯正の場合、受け口など成長を見極めなければならない場合を除いて、正直いつでも矯正治療はできます。しかし、10代と20代以降では歯を支えている骨の硬さが異なります。一般的には、10代の骨が柔らかい時期の方が歯の動きもよく、矯正治療の痛みも感じにくいとされています。また、矯正治療は患者さんの協力(歯磨きや装置の使用など)も必要になりますので、患者さん自身が治療に積極的な方が適しています。

成人の方であれば、基本的にいつでも大丈夫ですが、むし歯や歯周病が進行してしまうと治療の選択の幅が狭くなってしまったり、最悪矯正治療ができないこともあります。他のライフイベントに合わせて、なるべく早く行った方がいいでしょう。

ポイント

子どもの場合は小学校に入学したら、大人の場合は歯並び・かみ合わせが気になったらすぐに矯正相談を受けましょう

矯正治療の期間

子どもの矯正

いつから始めたかやどこまで治すかによっても治療期間は異なります。個人的には、子どもの矯正期間(治療開始~永久歯が生えそろうまで)の半分程度は積極的に歯を動かして、残りの半分程度は保定や生え変わりや成長を待っていますと説明します

例えば、7歳で子どもの矯正を開始して、最後の永久歯(通常は12歳臼歯)が生えそろうまで5年程度あります。その場合、2年半くらいは積極的に動かし、残り半分は保定や生え変わりや成長を待つ機関が2年半くらいということです。

大人の矯正

大人の場合は、歯並びによっても異なりますが、非抜歯で治せる場合1~2年抜歯が必要な場合は2~3年くらいが一般的です。その後、どちらの場合も最低2年間の保定が必要です。保定期間も含めると、3~5年程度はかかると思って頂きたいと思います。

保定に関しては、例え非常に簡単なケースで3カ月~半年程度で治療が終わっても2年間は行った方が良いと思います。

ポイント

矯正治療は、子どもでも大人でも保定期間を合わせると5年程度かかる

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